Date&Time 2012/9/16 PM3:15-4:15 Place せんだいメディアテーク 参加者数 55名


「ショートピース!仙台短篇映画祭2012」とのコラボレーション企画として開催したセッション6。映画監督・脚本家の沖田修一さんと守屋文雄さんのお二人がゲストとして登場し、映画の仕事に入るきっかけや、仕事への想いを語ってくれました。参加者は、ワークストークスでは過去最高の55名。ざっくばらんなお二人のトークに、会場は大いに盛り上がりました。

主催:仙台短篇映画祭実行委員会 共催:せんだいメディアテーク

運営・企画:Works×Talks Project

HOST: ホリノ マサヒロ デラベキア マキエ

 

GUEST:沖田 修一 (おきた しゅういち) 

1977年、埼玉県出身。

日本大学芸術学部映画学科卒業後、監督した数本の短編作品が、水戸短編映像祭などで受賞。テレビドラマなどの演出を経て、「南極料理人」(09年)「キツツキと雨」(12年)が公開される。

「横道世之介」が2013年公開予定。

 

 

GUEST:守屋 文雄 (もりや ふみお) 

1976年、宮城県出身。

日本大学芸術学部卒。第2回ピンクシナリオ募集入選作「ヒモのひろし」が05年「SEXマシン 卑猥な季節」(田尻裕司監督)として映画化。近作に「UNDERWATER LOVE―おんなの河童―」(10年、いまおかしんじ監督)、「キツツキと雨」(沖田修一監督)。 沖田作品には、自主映画時代からほぼ全ての作品に関わっている。

 

 

沖田修一さん
沖田修一さん

-映画の仕事に興味を持ったのはいつ頃ですか?

 

沖田:中学の時、友人がビデオカメラを持っていて、映画を撮ろうということになったんです。タイトルは、「地底人の謎」。みんなで一緒に作りながら、「こう撮ったらもっと面白いのにな」と一人で考えたりしていました。家にもビデオカメラがあったので、自分でも撮影して作ってみたんですが、せいぜい5分ぐらいのものにしかならないんです。テレビで見る2時間作品ってすごいな、と思うようになりました。それが映画の仕事に興味をもったきっかけです。

守屋:話作りは小学校ぐらいから好きだったんです。絵本作りをさせる先生がいたんですが、自分は1人でも夢中になって作っていました。うまく起承転結があるストーリーに出来ないんだけど、たまに上手く作れると嬉しかった記憶がありますね。それが興味を持った始めだったかなと思います。

 

 

-そこからお二人とも日大の映画学科に入って、お互いに出会ったわけですよね。

守屋文雄さん
守屋文雄さん

沖田:守屋君は監督コースなのに、学生同士で作っていた作品に俳優として出ているような人で。僕が一方的に、守屋君ってすごいいいな、と思っていたんです。それで、卒業式の二次会で「守屋君、俺ファンなんだけど」と告白したんですよね。もう会えないから、好きだという気持ちを伝えようと(笑)。その後、自分が芝居をしてたところに守屋君が入ってきたので、「好きな人が来ちゃった」という感じになって(笑)。

 

守屋:そこで45年一緒に劇団をやって、その間に沖田が映画を撮り始めたんですよね。

 

沖田:鍋の話(※)なんだけど、制作費5万円、撮影3日間ぐらいで友達に手伝ってもらって作ったんです。大学に行って良かったことは、技術的なことが出来る人が周りにいたことですね。主役は、守屋君に電話して頼みました。

 

(※)『鍋と友達』(02年)。第7回水戸短編映像祭でグランプリ受賞。

 

息のあったお二人のトークで、会場も終始和やかな雰囲気に
息のあったお二人のトークで、会場も終始和やかな雰囲気に

-実際に映画が仕事となった転機は何ですか?

 

沖田:やはり映画祭ですね。いろいろな映画祭に作品を出していて、その鍋の映画で、水戸の短篇映画祭で賞をいただいたんです。そこから劇場映画の仕事につながりました。

 

守屋:僕はピンク映画のシナリオ賞を取れたのが、脚本家としての転機でした。それがきっかけでいろんな人と知り合いになれましたね。

 

沖田:守屋君の場合は、皆、彼を自分の作品に呼びたがるんですよね。それがつながりを生んでいると思います。

 

 

-自主制作と商業映画の違いはなんでしょう?

 

沖田商業映画では関わってくる人数も多くなって、いろんな人の映画になる。助監督さんも、美術さんも、他のスタッフも、自分の映画として仕事をしている。エンドロールにも山ほど人が出てくる。いろんな人の手に渡って作品が出来上がっていく。そういう良さが、商業映画にはあると思います。

リアルにその作品が稼げるかどうかが重要になって来る部分も違いますね。どうやったら稼げるかというのもよくわからないんですけど。

 

守屋:ただ現場にいるとそんなに違わないですね。ほとんど違いが無い気がします。

 

沖田:確かに『キツツキと雨』も大物の俳優がいっぱい出ているのに、自主映画と同じような雰囲気の時がたまにあって、その境目はあいまいだと思いますね。

 

守屋:自主映画は、くじけたらおしまい、という感じがします。誰にも頼まれてもいないものを、何で頑張って作るんだろうと。その答えが自分の中に出ていないと、ふんばりが利かないんです。商業映画は色々な制約がある中で仕上げる必要があって、思い通りにいかない時もある。とりあえず気持ちの中では引き分けに持っていくんですけど。

 

沖田:それでへこむ時もあります。ただ終わってみると、そうやって思い通りじゃなかったものが「こっちで良かったかも」という場合もあるんです。なので、一概には良い悪いは言えないかなと思います。

 

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