仕事の枠で出来ない企画は、プライベートでやってしまえばいい

桃生:そんな感じでこれまで生きてきて、いろんな人に出会ってきたんですが、それが今仕事でもそれ以外でもつながってきています。

 

例えば、つれづれ団などで出会ったデザイナーさんに、仕事で使う広報物をお願いしたり、定期的な刊行物を作ってもらったり。逆に、とても面白い人なんだけど、仕事では関わりにくい場合、つれづれ団でお声がけしたり。

 

こうしてみると、仕事とそれ以外の垣根というのが無くなってしまいますね。

 

仕事の枠だとここまでしかできない、という時には、プライベートでもうひとつ自由な枠を作って、やりたいことはやってしまう。それでチャレンジして、うまく成果が出たら、自信を持って仕事でも打ち出していく、提案していく、ということが出来る。そういうのもありだと思います。

 

ホリノ:それはつれづれ団をやりながら、生まれた考えですか?

 

桃生:そうですね。普段の仕事でなかなかチャレンジできないと感じている人が、プライベートでチャレンジして、失敗もする。私もこれまでの企画でいろんな失敗をしていて、その中でたまに成功する。だから、一つの実験の場にしています。

人によっては、つれづれ団でチャレンジすることが、将来の違うステップにつながっていく、ということもあると思います。

 

小さい企画をコツコツと

ホリノ:メンバー数ですけど、単純に400人もの人が集まってくることが凄いなと。僕も仕事でいろいろなNPOや団体を見ていますが、人を巻き込むのって難しい。

 

つれづれ団の秘密は、「楽しさ」「おもしろさ」。それと、「企画数の多さ」、つまり集まれる・参加出来る場がたくさんあることもポイントなのかな。

 

桃生:そうですね。初めにメーリングリストを作った時は、2,3か月で終わるんじゃないかなと思っていたんですよ。大きな展望を持って始めたわけじゃなくて。でも、小さなイベントをやり続けている間に、いつの間にかこうなった、みたいな。

 

これまでやってきた企画って、どれも10~20人ほどの小さいものです。それをコツコツとやってきた。ひとつの方法としては正解だったのかなと思います。

 

人の巻き込みに関しては、あまりジャンルにこだわらずに、いろんな場で、いろんな人に会うことが大事だと思っています。私は人と関わるのがおもしろいんです。そして、今日は私が前で話をしていますけど、会場のみなさんを前に立たせることの方に、おもしろみを感じています。

 

妄想こそがユニークな企画を生む

「妄想ミーティング」の様子
「妄想ミーティング」の様子

キクチ:では、会場からも話を聞いてみたいと思います。

 

参加者A:企画のアイディアは、どうやって生まれてくるのかなと。

 

桃生:「妄想」がすごく大事ですね。

 

つれづれ団は400人いますけど、何かやる時に全員が関わるわけじゃないんですね。例えばメーリングリストに、「こんな企画の依頼が来たんですが、興味ある人、やりたい人いますか」と投げかけます。そうすると、数人が手を挙げる。

 

例えば、「としょかんメディアテークフェスティバル」だと10人ぐらいの人が手を挙げた。で、その人たちでアイディア出しをやるんですね。ワークショップをやっている人はわかると思うんですけど、ポストイットに思いついたことをなんでもいいから書き出すんです。アイディアを考える時、予算とか場所とかの制約は外して、実現可能性も無視。

 

この時だと100個ぐらいの案が出た。で、似ている案は一緒にして、そこからさらにアイディアを深めていく。そして、最終的に10個ぐらいに絞る。

 

制約を初めから考慮すると、つまらなくなるんです。初めは、理想を超高く持って考える。出てきたアイディアの中から、実現可能かいろいろな条件から引き算をしていって、最終的に生み出されたものがおもしろい企画になる。

 

「としょかんメディアテーク」の時も、本当に出来ないアイディアがたくさん出たんですよ。「全裸で本を読む」とか、「エロ小説・官能小説のリーディング」とか。そういうのは、図書館ではふさわしくないってことで消えていくんですけどね。でも、そういう妄想が大事です。

 

キクチ:事業を考える時に、制約をとっぱらってしまうというのは面白いですね。400人いるけど、やりたい人だけがやるというのも。

 

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